ソンホン川(紅河)

特定技能外国人、今と一昔前との違いを比較し理解しよう

2024.10.9

筆者の本業は社会保険労務士です。現在200社を超える企業様をサポートしていますが、外国人を雇用していない企業の方が少ないのでは、と感じています。この10数年の間に、外国人雇用の在り方がどう変わってきたか振り返ってみたいと思います。

国別変遷

エンジニアなど「技術・人文・国際」専門職に関しては、欧米諸国の方々がメインでしたが、いまはアジア諸国を含め、本当にいろいろな国から来日しています。交通と情報通信の加速度的な発展により、一定程度の裕福な階層であれば、どの国の人々も日本を目指すことが可能になりました。

しかし、逆に、選ばれる国でいられるかが問われる時代となりました。英語圏のアメリカ、カナダ、オーストラリアの方が言語的障壁は少なく、韓国も出稼ぎ先としての地位を確立しています。
技能実習・特定技能は中国人からベトナム人へすっかり移行しました。いまやベトナムも発展をとげ、筆者の知る限りでも、円安を理由に帰国した方が数名います。

今後はインドネシア、ミャンマー、ネパールの時代だと言われています。
ただし、貧しい国からの労働力の供給が続くだろうと考えてはなりません。

距離的には遠くなり、日本に来るメリットも比例して遠ざかります。外国人は安い労働力という考え方を捨てない限り、国際的地位を維持するのは難しいでしょう。

いまや売り手市場の外国人材

それこそ技能実習全盛のころは、外国人は安い労働力でした。研修計画を全うするために3年から5年の間、同一企業に拘束されます。労働基準法では人身拘束に最も重い刑罰を科していますが、技能実習制度はまさに抜け道でした。

転職することができない立場であれば、低賃金長時間労働でも耐えなければなりません。今治市のタオル製造工場事件など、いくつもの人権侵害が繰り返されました。

ただし、現在は、外国人も売り手市場だということをご存じですか。特定技能制度が創設され形式上は出稼ぎ外国人労働者も転職が可能となりました。
また、この間、インターネット、SNSはめざましい発達を遂げました。在日外国人は、出身国ごとにコミュニティをつくり、就職情報を頻繫にやり取りしています。

母国への送金を増やすためお互いに連絡を取り合い、少しでもいい労働条件を選択します。外国人は安い労働力という考えの企業は、もはや人材獲得は困難です。

まとめ

一昔前と今では、日本を取り囲む環境が大きく変わりました。日本の国際的な経済的地位は下がり続けています。在日外国人に変化がみられるように日本社会も変わっていかなければなりません。

特定技能の場合、一定期間ごとに行政への届け出があります。
違法不当な労働条件では、その後外国人の受け入れが不可能となります。
そう伝えても変わってくれない経営者がいまだに存在することを悲しく思います。

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