社内で出来る特定技能外国人の日本語レベルの上げ方は?

社内で出来る特定技能外国人の日本語レベルの上げ方は?

2025.12.9

特定技能外国人雇用のひとつのハードルとして日本語によるコミュニケーション能力のばらつきが挙げられます。最初から求めるレベルであれば問題ないですが社内でもサポートする事でより良い関係が築けます。

外国人は日本語を覚えたがっている、と何度も述べてきました。そうです、外国人にとって日本でどれだけ稼げるか、それは在留資格と日本語能力で決定されます。外国人を雇用する側の皆様、日本企業としても、日本語能力の向上および定着を何よりも求めているかと思います。両者の思いが一致しているのであればもう日本語教育をやるしかありません。どこでやるのか!一緒に会社でしょ!!
と、東進ハイスクール林先生をちょっとアレンジしてみましたが、情熱は伝わりましたでしょうか。どのように教育するかは、外国人側のニーズに合わせれば間違いありません。

日本語を学ぶ直近の目標を選びましょう

外国人のニーズを以下に述べます。あまり長期の目標だと長続きしません。それよりも、直近の具体的な目標だと手につきやすいですよね。結果も早く出ます。継続します。ということで王道の方法を2種選んでみました。

日本語能力試験JLPT→キャリアアップの第一歩

最初に活用したいのは日本語能力試験(JLPT)です。外国人の皆さんは常にワンランク上のレベルを目指しています。テストは年2回、7月と12月です。特定技能としてすでに働いている、ということはN4には受かっています。N4の方はN3、N3の方はN2を目指して日々努力しています。ただし、JLPTはあくまでマークシート方式のテストです。日常会話と直結するわけではありません。
だからこそ、会社が、日本語教室を開き、筆記だけではなく会話も教えてあげると、外国人にとっては一石二鳥。とても喜んでくれて定着にもつながります。業種独自の言葉も教えてあげれば、仕事に対するモチベーションにもつながります。
特定産業分野はすべて人手不足、なかなか就業時間に行うのは難しいかもしれません。就業時間中であれば労働時間として賃金が発生しますが全員参加を命じられます。
就業時間外であれば、参加の義務付けはできません。それでも皆が集まれる適切な時間をアンケートなどで確認すれば、多くの特定技能外国人スタッフ(および外国人アルバイト)が参加してくれるでしょう。
日本語講師の国家資格を取得して文法からしっかりと、などと構える必要はありません。私たちは数十年日本語を使って生きています。答えられないことはほぼありません。

特定技能2号試験(介護の場合は「介護福祉士試験」)→ 長期定着への挑戦

この数年間を通算すると100人を超える外国人の面接をしてきました。その中で、皆さん口にするのは、特定技能2号になりたいという希望です。特定技能1号として5年間働いたら母国に帰りたい、と言われたことはほぼありません。特定技能2号になって通算10年間、できるだけ長く日本で稼ぎたいというのが特定技能外国人のほとんどが思っています。
業種ごとに特定技能2号になる要件は異なりますが、一定程度の業務経験を積んだところで、会社が特定技能2号試験を申し込み外国人に受けてもらいます。ただし、この問題が難しい。それぞれ、試験を開催する機関において、限られていますが過去問を見ることができます。
特定技能1号では現場業務がメインですが、特定技能2号となると経営に関することなども問われます。たとえば原価計算、例えば人件費率、BS・PLの見方など。日本人でも難しい問題を外国人に答えさせるので大変です。だけれども、これも見方によっては日本語学習および定着への大きなチャンスです。特定技能2号試験に向けて一緒に日本語学習を行えば、外国人材の会社への忠誠心はゆるぎないものになるでしょう。

まとめ

さあ、みなさん、本当に難しく考えることはありません。私たちは空気を吸うように日本語を話しているのですから。気軽に日本語教育の場を持ちましょう。たとえば、中国人など漢語圏の外国人に日本語教育をしていると、中国での漢字がどのような変遷を経て日本語の漢字になったのか新たな発見があったりします。お互いの文化を知るきっかけにもなります。
本当は登録支援機関が行うべきだと筆者は考えています。
登録支援機関の義務的支援事項に「日本語学習の機会の提供」と法定されていますが、あくまで「機会の提供」です。「日本語教室等の入学案内、日本語学習教材の情報提供等」をすれば足りるとされています。「近所のどこどこに無料日本語教室があるよ」とおしえれば法的義務は履行できてしまいます。でもそれでは支援とは言えないですよね。
特定非営利活動法人SDGsHelloWorkは週1回(オンライン)、独自に日本語教室を開催しています。日本語を上達してほしいのも事実、だけれども本当の目的は信頼関係(ラポール)の構築です。毎週顔を合わせることによって、特定技能外国人が気軽に悩み事を話してくれるようになることを目指しています。
さあ、ここまでお読みになった皆様、社内日本語教育を行わない手はないですよね。じゃあいつやるの?That’s Now!人材不足を補うだけでなく、信頼関係を築き、持続可能な職場環境を作っていきましょう。