クアラルンプールのペトロナスツインタワーの夜景

特定技能外国人の採用で特に効果が高そうな業種3選

2024.8.5

特定技能外国人を採用できる業種は現段階で12業種に限られています。ただし、令和6年3月29日の閣議決定により「自動車運送業」、「鉄道」、「林業」、「木材産業」も追加されることが決定されています。出入国管理局に問い合わせても、まだ実際の運用はこれから決められていくとのことです。これからの加速度的な人口減少を考えると更なる追加も考えられるでしょう。
さて、現状の12業種で、特に外国人の能力が発揮されるのはどの業種なのか見てまいりましょう。

農漁業

特定技能外国人の出身国は主に東南アジアです。
ベトナム・インドネシア・ネパール・ミャンマーなどが、現在では送出国のメインをしめているでしょう。これらの国々では第一次産業が盛んです。
専門的な業務は日本人が担当することで、単純作業を切り出すことが可能でしょう。
単純作業の繰り返しであれば、日本語能力もある程度あればよく、母国で農業・漁業をされていたのであれば即戦力となります。

ただし、農業・漁業の受け入れはあまりうまくいっているとは言えません。
というのは、農業も漁業も欧米のように大規模法人ではなく、日本の場合は小規模零細の農家、漁師が担っているからです。

そして、年間の業務の繁閑が激しいのが特徴です。
収穫や出荷の時期は忙しくても、それ以外の時期は人余りになってしまいます。

そのため、特定技能業種の中でも、農業、漁業だけは派遣が認められ、農林水産省に登録した大手人材会社が、派遣制度を使って各農家を順番に移動させているのが現状です。

何らかの制度変革があれば、特定技能外国人の重要性が飛躍的に高まる業種と言えるでしょう。

飲食店

飲食店は、日本人経営者からも、外国人側からも人気が高い業種です。
筆者も経験していますが、最近は「ランチ難民」などに象徴される、席は空いているのに調理・接客が足りずに待たされてなかなか食事にありつけない状況があります。

特定技能就労資格で言えば、「外食」や「宿泊」などは、土地建物の賃料や水光熱費などの固定費が高いため、なるべくフルに稼働しなければ赤字となってしまいます。だけれども人がいない。

以前は日本人学生や主婦パートが貴重な労働力でしたが、この時代、多くの方がホワイトカラー職を選ぶようになってしまいました。
そこで、特定技能外国人の活躍がとても期待されています。

外国人側からも人気があります。工場系の仕事ではなかなか日本人と接触する機会、日本語を話す機会に恵まれず、日本語の上達が進みません。
また、工場勤務に比べて華やかなイメージもあるのでしょう
。面接で立ち会う外国人の多くは、母国で日本食のレストランを開きたいなどと話しています。

業種特有の問題は利幅が小さいこと。
BtoB業種と違い大きな儲けが出るわけではありません。
そのため、労働基準法などを遵守するのに精いっぱいで、過去には労働条件をめぐるトラブルに遭遇したこともあります。

介護業種

長期的視野で考えれば介護業種で一番活躍が期待されるでしょう。こ
れから30年間は少子高齢化がますます進んでいきます。DXも進化していくでしょう。ですが、やはり人間でなければできないものがあります。ぬくもり。安らぎ。温かさ。

人の命を扱う業種であり、日本語会話能力そのものが仕事に直結します。
介護業界もまだ二の足を踏んでいるようです。
ただし、もう時間はありません。
日本語能力が劣っていたとしても、日本の企業側が、業務を切り分けたり、業務日誌の作成にAI翻訳を使うなり歩み寄りを示さなければなりません。

まとめ

3業種についてみてきました。もちろん工場系の業種においても、外国人の採用は欠かせません。半導体をはじめとして、ものづくりにっぽんを取り戻すためには、外国人に力を貸してもらわなければなりません。

外国人を受け入れるにあたって様々な障壁があることを見てきました。外国人に、さらなる日本語能力を求めるのではなく、日本企業・日本社会側が、外国人が働きやすい仕組みづくりをしていくことが、これからの日本にとって重要であることは間違いないでしょう。
特定技能外国人の採用を考えている○○業種ですが適正ありそうな人材はいますか?などご相談がございましたらお気軽に特定非営利活動法人SDGsHelloWorkまでおお問い合わせくださいませ。