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特定技能外国人の能力が期待以下だった場合、解雇は出来る?

2025.1.13

さて、あまり述べてきませんでしたが、特定非営利活動法人SDGsHelloWork代表の筆者は、行政書士であると同時に、社会保険労務士でもあります。外国人のみならず、日本人労働者と日本企業とのいろいろなトラブルを解決してきました。今後は、社会保険労務士目線でも、外国人労働者の雇用について記述していきたいと思います。
最初は、最も重要な解雇の問題から見ていきましょう。

日本人労働者の解雇要件は・・・

皆さんご存じの通り、日本は最も解雇規制の強い国だと言われています。
そもそも日本は、「メンバーシップ型」の雇用体系です。新卒一括採用したのちは、その会社の一員としてどんな仕事も行ってもらう、その代わり、会社は生涯にわたって面倒をみる、ざっくり言えばこんな感じでしょうか。

一つの職業能力でいくつかの会社を渡り歩きながら稼得能力をあげていく欧米の「ジョブ型」雇用とは大違いですよね。
転職が当たり前の時代になってきましたが、長い期間に築き上げられた判例法理がすぐ変わるということはありません。

そして、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。(労働契約法第16条)」とされています。
「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」とかなり抽象的な言い回しではありますが、本稿のような能力不足の場合は、まずしっかり研修を行い、注意指導を繰り返し、改善が見られない場合には配置転換を行い、それでも尚、企業に置いておくのが難しいとされる場合に限って、ようやく解雇が認められると考えればいいでしょう。

特定技能外国人は解雇できるの

労働法は、日本人と外国人の差別を禁止しています。外国人にも日本の労働法が適用されます。
ですので、雇ってみたけれども能力を発揮してくれない場合、上述のように外国人にも解雇規制がはたらきます。

さらに、よほどのことが無い限り、特定技能外国人を解雇することはできません。それは、入管法に基づきます。

日本政府は、日本国民の雇用を守るため、あくまで人手不足の企業のみに、特定技能外国人の雇用を許可しています。直近1年以内に、「非自発的離職者」をだしている企業は、1年経過するまで特定技能外国人を雇うことができないとされています。

選り好みするような企業は、外国人ではなく、まず日本人を雇いなさい、というのが国側の主張なのです。

まとめ

日本人の採用も変わりませんが、採用してみないと人の能力はわからないものです。それなのに、雇ってみて、仕事ができないのに解雇もできない、となると困ってしまいますよね。

特定非営利活動法人SDGsHelloWorkにも、解雇関連のお悩み相談は多くいただきます。入管法だけでなく、労働法も詳しくなければ大きな痛手を負うかもしれません。
登録支援機関を選ぶ際には、そういったところもお気にかけてくださいね。